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これだけは最低限押さえておきたい印刷方法(6種)
2014/07/18

印刷初心者
今回は、最低限知っておきたい印刷手法を6つご紹介します。
印刷業界においてポピュラーな手法です。これを知らなくては印刷は語れません。


-目次-
1.インクジェット印刷

2.オフセット印刷

3.活版印刷

4.グラビア印刷

5.シルクスクリーン印刷

6.凸版印刷

1.インクジェット印刷
簡単に言いますと、インキを紙などの対象に触れずに吹き付けていく印刷手法です。
噴射するインキ量と密度を調整して全色を表現します。
(インキを吹き付けるだけなので紙以外の媒体や、曲面にも印刷可能)

インキ一色あたりの価格が安く、必要な時に必要なだけ印刷するという目的(=オンデマンド)に合わせた機械が多いので、一般家庭・オフィスに最も普及しています。

実は、話題になっている”3Dプリンター”にも同じインキジェット方式のものがあります。
3Dプリンターはインキでなく、樹脂などの材料を吹き付けて組み立てていく仕組みです。
結構単純な仕組みなのですね。


2.オフセット印刷
版に付いたインキを一度ブランケットと呼ばれる転写用ローラーに転写してインキを剥がし、今度は転写用ローラーから紙にインキを転写します。つまり、版から”ローラーを経由して”紙に転写するのです。
ローラーで版からインキを剥がす転写を「オフ」、ローラーからインキを紙に付ける転写を「セット」と呼び、この二つの単語を合わせて「オフセット」と呼びます。

オフセットの版は、”平版”と言われる凹凸のない版を使用します。
版にまずは水を付着させます。この時、特殊な加工により水が付かずにはじかれる箇所ができます。
次にインキを付着させると、インキが油性のため、水が付いたところにはインキが付きません。
これによりインキが付着する箇所をコントロールしているので、平たい版でも印刷する事ができるのです。

利点は、短時間での大量印刷が可能なことと、大部数の印刷であればあるほど単価が安くなるといった点です。
凸版印刷手法に代わり、現在の商業印刷の主流となっています。
版の向きが文面と同じなので間違いの発見が楽という点もあります。


3.活版印刷
活版にインキを付け、紙を乗せて上から圧力をかけて紙にインキを転写する印刷方式です。
活版とは、活字という、文字の部分が凸状になっているパーツを集めて構成されたもので、自由に文字列を作って印刷する事ができます。
そのため、版の文字を一文字だけ差し換えたり、印刷後、不要になった版をバラバラの印字にして新たな版を作ることが可能です。
印刷の仕組みとしてはシンプルで、手作業のハンコ押しを上下逆でするようなものです。

昔ながらのアナログな手法ではありますが、名刺、案内状、賞状などの少部数で精度が求められる印刷物で用いられています。

また、印字された文字の部分が凹み、印刷物に立体感が出るという特徴があります。
他の手法にはない味わい深さがあるので、近年、デザイナー業の方等に表現方法の一つとしても注目されています。


4.グラビア印刷
くぼみのあるローラー状の版胴にインキを入り込ませ、版胴を回転させながらインキを転写する印刷方式です。

色の濃淡が版のくぼみの間隔、幅、深さにより自在に決められるため、美しく、精彩な印刷が可能です。
写真印刷、美術印刷などの用途に向きます。

なんと、日本円の紙幣の製造段階でもこの技術が使われているのだそうです。


5.(シルク)スクリーン印刷
絹や繊維質でできた版を用いた印刷方式です。
版にはインキを付けたい箇所に穴が開けてあります。
この版を木枠にセットし、対象物の上に乗せます。
版の上にインキを乗せてヘラ等でインキを塗りつけると、穴からインキが対象物の上に押し出され、版の通りに転写されるのです。

インキが厚く塗られるので、下の素材の色が透けずに鮮明な印刷ができ、印刷物も長持ちします。
紙以外にも布、ガラス、プラスチック、金属素材など様々な素材、立体物や曲面にも転写可能です。
また、様々な種類のインキを使う事が出来るのも大きな特徴です。
(水性、油性、金粉、蓄光、スクラッチ…等)


6.凸版印刷
インキを乗せたい部分が凸状になっている版を用いた印刷方式です。
版にインキを付着させ、上から紙に圧力を掛けて転写します。
原理はハンコの手押しと全く同じで、最もシンプルで古い印刷方式です。

上から圧を掛けて印刷するので、インキが外側に押し出されます。
そのため写真や小さい文字ですと潰れてしまうことがあるのが欠点です。
逆に利点としては、印刷された内容は、見た目に力強く、シャープな印象を受けるものになります。
また、インキ洗浄や版交換などが楽な為、作業性も高いという長所もあります。






☆まとめ
どの印刷方法も特徴があります。

・インクジェット印刷…必要な時に必要なだけの印刷向き

・オフセット印刷…大ロットの印刷向き

・活版印刷…名刺、賞状などの印刷向き

・グラビア印刷…写真、美術印刷向き

・シルクスクリーン印刷…様々な素材への印刷向き

・凸版印刷…高い作業性、シャープな文字の印刷向き


昔は圧力によって転写するという単純な仕組みのものが主流でしたが、近年では更に便利な印刷手法が発明され、主流は変わりつつあります。



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